岩上: 今日はどうもありがとうございます。
高田: どうぞよろしくお願いします。
岩上: ある地方紙の現役の新聞記者をされております、高田昌幸さんなんですけども、「会見開放と記者室完全開放を求める会」と、私も一度、その記者会見に出させていただいたりして、その末席でお手伝いさせていただいたんですけど、その中心になって活躍されてるという高田さんですけれども。あのー、記者会見のね、完全開放を求めるっていうのは、これまで、フリーランスでも、こう、声を上げたりしてきました。でも、記者室の開放って、わからない人って結構いると思うんですよ。
高田: はい。
岩上: つまり、記者室って言うものは、これ、新聞記者や官公庁にいる人にとっては、周知(?聞き取れず)のものであると。ところが、可視化されたことがほとんど無いですね。国民の目に、たとえば、わかりやすいドキュメンタリーかなんかでカメラが入って、「ああ、これが記者室なんだ」って見せられたことがないんですよ。そういう、官公庁などの中に、全国で800箇所ぐらいあるといわれている。
高田: そうですね。800越えるといわれてますね。
岩上: どんなもんですか、記者室って。
高田: たとえば、そうですね、どっか小さい役所があって、県庁でもいいです。学校の教室よりやや広い部屋が物理的にあって、もちろん、小さいところになると物置程度の場合もありますけど。まあ普通都道府県庁ぐらいだと、もっと大きいかもしれませんね。教室3つ分ぐらいの広さは最低あると思います。そこに記者がいて。
岩上: 整然と机が並べられていて。備品があり。
高田: そう、各省庁ごとに机が並んでいます。で、事実上記者はそこを、県庁記者クラブ所属の記者であれば、県庁に出社すると。会社に行かないで。
岩上: まるで分室、(サテライト)オフィスという感じですね。
高田: そうです。分室です。分室を各社がみんなで使ってると。それぞれに間仕切りして使う。
岩上: これは、たとえば、費用を記者クラブのメンバーがすべて出資してお金を出して賃料はらっって使っているとすれば、問題のひとつは解決するんですけれど、かなりの公費、税金でまかなわれていると。この点について不透明なところ、国民の信任を得ているとか、国民の議論の対象にすらロクになっていないということがありますね。知らないうちにわれわれの税金が使われちゃってると。
高田: 私は、そのへんではほかの人と意見が違うかもしれないですけど、事実関係だけを言うと、最近の記者クラブでは昔と違って、昔は、電話代、電気代、記者クラブの雑務やってくれている女性の事務員。
岩上: いますね、それが役人だったりするんですよね。
高田: 役所が雇った人って場合がありますね。でも最近は、電話代は払う、とか、家賃は払ってるところはほとんど無いと思いますが、家賃についても、応分の負担をしているところが最近はでてきました。ただ、私は、お金が本質的な問題だとは思っていない。
岩上: やっぱりそこを占有できる権利、官公庁の内部に入れる。建物の中に自由に入れる。外務省はボディーチェックがすごい厳しいです。でも、職員とほぼ同じパスがあればスイスイ入れて自由に動ける。そんなことは、外部にいる我々のとような人間にはありえない。そうした点も非常に特権的、内部の情報とか事情に精通できる。そういう点が、入れる人とは入れない人との大きな違いになる。
これが、記者室という物理的な空間と、そこを特権的に使用できる記者クラブのメンバーと、そこに入らない、そこに参加できないジャーナリストやメディアの大きな違い。一般市民だって、そこを使ったっていいじゃないかと、僕なんかは個人的に思っているんですが。広い意味でそこはパブリックスペースにするべきだ、と。
高田: 基本的にはそうですね。ほんとうに「誰でも」というのは最後議論が残るかもしれませんけど、基本的にジャーナリストであれば、情報発信をする人であれば、記者室には自由にアクセスできる、利用できる。今は現実問題、記者室を利用できるのは加盟の記者でないとダメ。記者室はそこにあっていいとおもいますが、アクセスできる権利はジャーナリストであれば誰でもいい。あたりまえですね。
岩上: ・・・ということがまかり通ってこないというか。一部の社だけが独占して、当たり前のようにそれを使って、公費で負担するのを当たり前だと思っていて、他の、ジャーナリズムに関わりたいと思っているすべての人を排除してきたと、いう歴史があるわけですね。で、「会見の開放、記者室の開放を求める会」、というのを立ち上げられたと。
高田: はい。
岩上: この会を立ち上げられた経緯、内部にいながら・・・これ、言い方悪いですけど、どちらかというと特権を享受する側にいながら、むしろ、占有はおかしいと考えて運動を起こすきっかけをお話いただけますか。
高田: もともと、今の記者室・記者会見の制度が閉じられている、「記者クラブメディア」・・・っていう言い方は誤解を招きますね・・・既存の大手の新聞社とか放送局が事実上占有しているのはどう考えても理屈に合っていないし、それはおかしい、ということは私はもうずっと言い続けてます、おそらく2000年過ぎのころから。機会があるごとに書いたり、しゃべったり。ただもう、それは10年近くたってまだ議論が続いている。もちろん議論は大事。でも、私からすれば、もう議論はいいよと。実際、記者クラブをどうしますか、っていう話になると、「記者クラブは解体してしまえ」という人もいる「記者クラブはどうでもいい。記者会見に自由に参加できればいいんだ」という人もいる。「記者室まで利用したい」人もいる。「組織としての記者クラブに入りたい」という人も。細かい差があるけれど、最低限、みなさんが納得できるラインを考えて、動かしましょう。なんとかやりましょう、と。そういうことですかね。
岩上: 2000年ごろから始められたとして、その当時の肩書きはどうなってたんですか。キャップ?
高田: なんでしたかね・・・現場の記者だった気がします。
岩上: ヒラの記者ということですか?
高田: いつからこういうこと書くようになったかという明確な記憶は無いですけど・・・。
岩上: 一記者としてそういう物言いをし始めて社内外の反応というのはどうでしたか? たとえば反発とか。
高田: 直接言われたことは無かったですね。その当時は記者クラブの問題についていろいろ発言する人はもうちょっといたような。十数年前。ジャーナリズム関連の雑誌の対談なんかには、普通に朝日新聞とか毎日新聞なりの人も出てきていたように思うんですね。
岩上: それを聞くと、ふたつのことを思うんですね。ひとつは・・・。
高田: 不思議ですかね、現役の記者がこういうことしゃべるのは?
岩上: ん? まず、現実にいらっしゃらなかったですから。
高田: 自分としては、やってること変わらないですよ。昔とおんなじですね。
岩上: 表立って本気でやるという人が少ないです、やっぱり。
高田: まーまー、そうですね。
岩上: だから高田さん稀有な例だと思うんですけど。社内で浮いてるとか(笑)、
非常に不利な取り扱いされてるとか(笑)
高田: なるほどね(笑)。
岩上: トップから煙たがられてるとか、同僚から「かっこつけやがってアイツ~」ってやっかまれてるとか。
高田: まあ、そういうこともあるのかもしれないですけど。
岩上: 査定に響いたりとか、ボーナス削られたりとか(笑)
高田: (笑)どうでしょうね…。私これ若い記者にも言っているんですが、組織の外で言うことと、中で言うことは常におんなじでなければいけない。もちろん、組織の中だから、ものを動かすやり方は内と外では違うと思います。しかし言っている内容は変えてはいけない。だから、外では「記者クラブを解放しよう」とカッコよく言って、社に帰ってきたら「ちょっとカンベンしてくださいよ、オレも立場上・・・」ってのはマズイだろうと。
岩上: このUstreamの中継が始まって、見始めている方の中に、何人かは勘のいい方がいて、もうお気づきになられてると思うんですよ。なぜ、(高田さんが所属する)新聞社の社名を言わないのかと。これ、社名を言わないでスタートしました。ね。
高田: ええ。
岩上: 最初に、社名は言わないでスタートしましょうという(打ち合わせ)があったんで。これは・・・。
高田: ええ、別に言っても。その辺は。
岩上: なにかの内規があって、社名については話してはいけないということになってるわけですか?
高田: 内規があって、どうこう、という・・・その辺は、「いわく言いがたい」というか(笑)。
岩上: 「いわく言いがたい」ですか(笑)!
高田: ・・・ということではあるんですけども、私は別に、外で書いたり、しゃべったり、と、時間の都合さえあえば、特定の政党や宗教団体の主催で無い限り、普通に同じようにやろうと思います。今日社名を言わないのは、「ちょっと面倒くさい話は脇においておきたいな」というそれだけのことですね。別に全然問題ありません。
岩上: そうですか。あのー、しゃべることによってですね、社内で何かしらハレーション、反応が起きているんじゃないか・・・。今のところ、一度も困ることが起きたりとかはしてないんですか?
高田: 私は、色んなところで書いたりしゃべったりします。でもそれは、個人の責任でやっていることで・・・。仮にですよ、今現実に何があるということは別にして、色んなこと言われたり、自分にとって面白くないなーということが起きているとしても、基本的には自分で引き受ける、オレはこんな事が起きているんだー!みたいなね、なんかカッコ悪いじゃないですか。
岩上: ・・・ってことは何かおきてると?
高田: いや!たとえば(笑)
岩上: たとえば(笑)と。ま、かっこ悪いってのは解ります。美意識としてね、男・高田!美意識としていいたくないのはわかりますが、ちょっと美意識はおいといて、一般論としてですよ、新聞記者が今、そういう問題について語ろうと、声を出して「記者会見開放していこうぜ」と内部にも、同業他社にも呼びかけると。現実の反応というものはどういうものですか?
高田: 社内ですか?
岩上: 社内も含めて。会社は面白くないと思っている・・・?
高田: 社内では、いろんな場面で同じこといってますから、「また高田は、あんなこと言ってる」。知らない人は「あ、こんなこと言う人がこの会社にいるんだ」。若い新入社員とか。ま、そんな反応ですね。
岩上: ああー。相手にせず、みたいな感じなんですか? ごもっともだな、と思ったら「そうそう!」って「俺らも声上げて一緒にやろうぜ」、みたいな人は出てこない?
高田: ・・・(音声切れている)・・・表に出てきて、「会見開放と」「記者室完全開放」を求める会の中で「私はジャーナリスト、という肩書きを使ってますけれど、まそれは、新聞記者、でもよかったわけですよ。たとえば、私の所属する会社の名前を使って。別に隠す必要はありません。北海道新聞記者、でも良かったわけです。ほかの人はどうだったかっていうと、記者会見開放や高田がやっていることに賛成だ、と一緒に途中までやってきて、じゃ、いざ、会を会を立ち上げましょう、表に飛び出しましょう、呼びかけ人になってね、名前載せるよ、という段になって、何人かは消えていきました。申し訳ない、と。それを私は責める気はない。
岩上: ま、責める気は無くてもいいですけど、どこの社が消えていきました?
高田: えー、それは申し上げられませぇん!
岩上: 個人名じゃなくて、社名はダメですか?
高田: 社名も・・・やめときます。
岩上: やめときます!?
高田: やめときますやめときます。
岩上: 五大紙といわれる、朝日、読売、毎日、日経、産経・・。
高田: そういうとこも入ってます。
岩上: ね。地方紙はいいです。地方紙は。朝日、読売、毎日、日経、産経、それに共同、時事、NHK、あとは民放。っていうくくりで言ったらば。
高田: そういうとこの人は入ってるんですよ。でも、どこの人、って言いたくないのは、オレから見たら「いや、なんで最後の最後で逃げるんだ」ってのはありますよ。でも・・・。
岩上: いや、個人を責めたいんじゃなくて、やっぱり、社の締め付けの違いがあるじゃないですか。これ、僕もある程度は知ってます。解ってます。締め付けが非常に強い社と、そうじゃない社ってありますでしょ?
高田: んー。でも、結局最後は個人の判断なんで・・・。そういうことやるなといわれて表に出てこないのではなくて、みんな自主規制しちゃうんですね。こういうことをやったら、「会見開放を求める会」に名を連ねたら会社でなんか言われるだろうな、この先の自分の道、会社員としてのね、会社員人生にとっていいことは無いだろうなー、と。そういうふうに思っちゃう。おそらく。
岩上: おそらく、といってらっしゃいますけれど、自主規制で控えてらっしゃる方もいると思います。中には、会社から明白に「お前やめとけ」と、「それやるな」という通達というかね。
高田: あ、もちろんそれはあると思いますよ。でも今回の、私の「会見開放の会」で一緒に呼びかけ人になってね、っていう話をしていた人たちは、会社からピンポイントで「やるな」と言われて止めたんではない。ようするに、踏ん切りがつかない。私に言わせれば「軟弱だなーおまえ・・・」っていう言い方になるんだけども、そういう人は、会社の中で、こういういいかたをするとアレですが、まあ「良心派」なわけですよ。
岩上: もともと会社からの締め付けが強い社は参加してませんでした?
高田: 参加してません。
岩上: ズバリ言っちゃいますけど「読売」とか!
高田: 参加してません。少なくとも私の話の中では。
岩上: いませんね・・・。読売の個々の記者、僕も知り合い・友人いっぱいいますよ。
高田: 私もいます。
岩上: いますけども、彼らはまったくもって個人のレベルで考えて判断して「僕も必要だと思う」、で(考えた結果)自主規制(して不参加)なんて、その程度の自由度なんて最初っから無いでしょ!
高田: ああ、僕もそう思います。
岩上: もっとはっきりした「規則」。「組織の論理」が先にあって、組織の規制を受けてるじゃないですか。「読売」が非常に代表的だと思いますよ。この会見を開放しないというのは。どこ行ってもね、色んな省庁のオープン化のために僕はぶつかりつづけてるんですけど、内情を聞いていて、まず第一が「読売」ですね。すべてですよ! だからこれは「徹底」してるんだなぁと思って…。
_________________________________________高田氏、ちょっと慎重です。以下続く
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